なぜ、シェーンベルクとブルックナー?

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東京都交響楽団定期演奏会Bシリーズ

2019年1月10日(木)サントリーホール
 シェーンベルクヴァイオリン協奏曲 op.36
 (ヴァイオリン/パトリツィア・コパチンスカヤ)
 ブルックナー交響曲第6番 イ長調 WAB106(ノヴァーク版)

終演後、楽屋で大野さんに伺いました

大野和士の公演は、いつもプログラミングに何かしら意味があります。
でも、1月10日の組み合わせは一見何の脈絡もなさそうで、会場ロビーでもプログラムの意図を測りかねる声が聞こえました。

1月10日終演後の楽屋口には、大野和士のサインを求める人が列を作った

1月10日終演後の楽屋口には、大野和士のサインを求める人が列を作った

サイト管理人が、大野さんのお話をまとめました。

これはウィーンつながりの選曲。
シェーンベルク作品は1934年から36年にかけて作曲された無調音楽ではあるが、ロマンティックな響きが残り香のように漂っている
そう、実はシェーンベルクはメロディー・メーカーとしての才能は抜群のものがあったと思います。
 
これに合わせたシンフォニーとして何が良いか、と見渡して選ばれたのが、ブルックナーがウィーン時代に書いた1881年作曲の交響曲第6番。
ウィーンでつながっていると同時に、音楽的に、ワーグナーの息子と孫のような関係にあります。
 
ブルックナーの交響曲は、「ローエングリン」の調性でもあるイ長調を選び、ブルックナー、シェーンベルク両人とも、ドイツロマン主義の系譜に連なる作曲家であることを示したことが、一晩でわかるプログラム。

大野和士とブルックナー

指揮者 大野和士によるブルックナー演奏は少なかったのですが、ブルックナーの音楽は好きで、ピアノではしょっちゅう弾いている、とのことです。
今回の第6番も初めて演奏するのに、表現は非常に練り上げられていて、都響のヨーロッパ風の重厚な響きに支えられて見事な音の伽藍を作り上げていたように感じました。

今年9月には、都響定期でいよいよ第9番を演奏されるので、とても楽しみです。